ATC録音用ケーブルを作った


僕は飛行訓練のときに無線のやりとりだとか教官の言うことなどを記録するためにアクションカメラの音声入力というかマイク入力端子に、機体のヘッドセットを接続する音声端子を分岐して繋いで録るということをしている。

当初は間違いなく録音ができるようにと、Sporty’sのFlight Gear GA Audio Input Cableを買って使うことにした。このケーブルはGoProに3.5mm Mic Adapterを接続したときの(TRSというらしい)3極の端子と、iPhoneなどで使われているの4極のCTIAという端子が両方出ている。

GoProの3.5mm Mic Adapterで録音ができることが確認されているケーブルだから、渡航して実際に使おうと思ったら使えないという事態を避けるためにこれを個人輸入をして持っていった。ただこのケーブルにも個人的には気になる点があって、それはケーブルの長さは足りはしているのだが、あまり余裕が無くシートを動かしたときに3.5mmのプラグを抜いてしまうことがあったというものだ。

アクションカメラの買い換え

もう一点、これはケーブルの問題ではなくGoProの問題なのだが、巷で言われているようにGoProは熱暴走というかサーマルシャットダウンしやすい。グアムは南国なので熱は心配で、そのために割とメジャーであろう対策、本体に電池を入れずUSB-Cから給電をして録画をするという方法を採用している。

しかしながらGoProの待機電力ではモバイルバッテリーは給電を止めてしまうらしく、撮影を開始するためにGoProの電源を入れるのに機内で悪戦苦闘をしなければならなかった。これはいけないと思い、ちょうどセールで安くなっていたDJIのOSMO Action 5 Proと純正のマイクアダプタを購入、この機種はどうやら本体にバッテリーを入れて4Kで2時間撮影できるらしく、GoProユーザーがこぞって乗り換えているみたいなので僕も乗り換えをすることにした。

で、GoProの3.5mm Mic Adapterは本体からケーブルでぶら下がるような構造なのでFlight Gear GA Audio Input Cableのまっすぐな端子でも気にならなかったのだが、Osmo Action 3.5mm オーディオアダプターは本体の横に端子が出るのでL型の3.5mm端子を使いたくなってきた。こういった事情から、自分に都合の良いケーブルを作ってみようと思い立ったのである。

回路

僕はオーディオ回路をよく知らないし、Cessna 172などのGeneral aviationのヘッドセットの信号についても良く知らない。ググって調べて適当に回路をでっちあげた。R1とR2でヘッドホン用に出力された電圧を抵抗分圧でマイク入力レベルに下げ、C1とR3の組み合わせハイパスフィルタで、要は直流を通さず音声の交流だけを通すものである。

調べている最中にはこういう記事こういう記事を見かけたりして抵抗分圧で電圧を下げるだけでも良さそうだとは思ったのだが、直流成分を突っ込むのは嫌なのでハイパスフィルタを入れておくことにした。

製作

Amazonで買ったものと、手持ちの電子部品で適当にでっちあげた。

1/4inchのステレオヘッドフォンプラグはアンフェノールのACPS-GB-AUを購入。金メッキは無くても良かったのだが、金メッキの無いACPS-GBはAmazonで見当たらなかった。

ヘッドセットを繋ぐためのメスジャックは「6.35mmステレオフォンメスジャック – 3.5mm ステレオミニ L型 90°オス プラグ」を購入。もう少し長ければ3.5mmのステレオミニプラグも使えたのだが、これはケーブル長が1.5mしか無いので、3.5mmのステレオプラグ側は切って捨てた。

3.5mmのL型プラグは「ステレオミニ延長ケーブル L型 3.5mmステレオミニプラグ(オス)-ステレオミニジャック(メス) 3m FVC-329L-3m」のメス側を切って捨てて使用。これでケーブルの長さは3m弱になるので訓練機のシートを動かしてもひっかけてしまうことは無くなると思う。

抵抗とコンデンサは手持ちの部品を使用。本当はコンデンサは無極性の電解コンデンサを使用したかったのだが、ACPS-GB-AUの取っ手の中に部品を納めたかったので積層セラミックコンデンサを使った。僕が使ったのはCT4-0805Y106Mという耐圧50V 10μFのもの。

抵抗は金属皮膜を使ったが、これは僕の手持ちのリード付き抵抗が安売りで買った1/4Wの金属皮膜抵抗だったからである。ついでに1.5kΩの抵抗が見つからなかったのでR3には1.5kΩではなく1.6kΩを使っている。

久しぶりに足付きの電子部品を使って、ステレオヘッドフォンプラグの取っ手に収まるようにグリグリとはんだづけをした。1/4インチプラグどうしは素通りになるように配線、3.5mmのL型プラグは先端のTipがマイク入力で、先端から2番目のリングの部分はものによってバイアス電圧がかかったり色々と他の用途に使われることがあるみたいなのでなにも繋げずに浮かせておいた。

一応ショートしたりしないよう、熱収縮チューブで適宜覆ったり、他のはんだづけ部分は抵抗のボディの横にくるようにしたりと気をつけた。

最後にプラグに付属していた絶縁のチューブを外側にかけて完成。

自宅でヘッドセットのテストができるよう、パソコンでGeneral aviationのヘッドセットが使えるオーディオアダプタを買ったのでそれでテストをして動作確認をした。ちなみにこのアダプターは$85と比較的安価だったので買った、9er SystemsのUSB2GA Aviation Headset to USB Adapterというものだ。

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