前回は日本からEAA AirVenture Oshkoshに行く場合の経路と宿とチケットについて書いた。今回は会場で実際にどう過ごしたかを記す。
最初に断っておくと、Oshkoshの楽しみ方は人によってまるで違う。僕は自分が操縦しない飛行機が飛んでいるのを眺めても、正直あまり楽しくない。エアショーを見るのが好きな人もいるだろうが、僕はそうではない。お金を出すなら自分で飛行機を借りて飛ばしたい人間である。
なので行く前から、フォーラムとワークショップを中心に組み立てるつもりでいたし、実際にそう行動した。あとはEAAだけあって航空機のキットメーカーがたくさん出展しているだろうと期待していた(この期待は外れた。後述する)。
つまりこの記事は「エアショーを見に行かない人のOshkosh」の記録である。飛行機が飛んでいるのを一日中眺めていたい人には、あまり参考にならないかもしれない。
なお英語について先に書いておく。僕は特に困らなかったが、自分の英語力を客観的に評価できないので参考にならない。同じ時期に来ていた日本人の学生は「英語力をなんとかしないと楽しめない」と言っていた。フォーラムは英語の座学だし、この記事に書いてあることの大半は人と話さないと成立しない。アメリカを旅行して会話に不自由しない程度の英語力は必要だと思っておいたほうがいい。
服装と天候
実際の気温
会場はウィットマン空港(KOSH)そのものなので、当時のMETARがそのまま会場の気象になる。滞在した5日間はこうだった。過去のMETARはアイオワ州立大学のIowa Environmental Mesonetで取得できる(ダウンロード画面 / ASOSネットワークのトップ)。
| 日付 | 最高 | 最低 | 最大風速 | 気象現象 |
|---|---|---|---|---|
| 7/21 | 26℃ | 15℃ | 19kt | 弱い雨、もや |
| 7/22 | 23℃ | 12℃ | 11kt | なし |
| 7/23 | 25℃ | 12℃ | 7kt | なし |
| 7/24 | 26℃ | 15℃ | 12kt | なし |
| 7/25 | 27℃ | 15℃ | 11kt | なし |
今年は涼しかったらしく、たしかに日本の7月とは比較にならないほど過ごしやすかった。最高でも27℃である。
ただし朝は12℃まで下がる。日中との差が15℃近くあるので、朝から会場に入るなら羽織るものがあったほうがいい。
雨は、僕の記憶では夕立のような短時間のものが一度降っただけである。METARの記録上、降水が出ているのは7/21の未明から早朝(現地時間5:54に降り止んでいる)だけなので、僕が体験したにわか雨は定時観測の合間に降って止んだものだろう。
雨具については、レインコートを勧められたが持って行かなかった。代わりにコンパクトな折りたたみ傘を初日だけ持って行ったのだが、あの程度のにわか雨なら降っている間だけ屋根のあるところに留まればいいと判断して、2日目からは会場に持って行くのもやめた。ただし降り方は年によって差が激しいらしいので、この判断がそのまま通用するとは限らない。
何を着ていたか
僕の格好は、半袖のTシャツ、薄手の長ズボン、スニーカー。それにキャップかハット、サングラス、日焼け止め。
帽子とサングラスと日焼け止めは、何度か行ったことのある人から聞いて用意した。これは正解だった。気温は大したことがないのに日射しは強烈である。緯度が高いぶん日が長く、日没は20時半頃。日中ずっと屋外にいるので、遮るものがないと消耗する。
サングラスと日焼け止めは、この後の日程でKBVYで飛行機に乗るつもりだったので、そちらと兼用でもあった。
同じ人から虫除けも勧められて持って行ったが、今年は使わなかった。年によるのだろう。
長ズボンにしたのは結果的によかったと思う。日焼け止めを塗る面積が減るし、草地を歩く場面もそこそこある。
会場の広さと移動
この記事にはHangar A、Hangar B、Forumsエリア、Boeing Plaza、Bus Parkといった場所の名前がたくさん出てくる。位置関係はEAAのMapsのページにあるGrounds Mapで確認できるので、そちらを開きながら読んでもらったほうが分かりやすいと思う。
5日間で47km歩いた
Apple Watchの記録がこうだった。
| 日付 | 歩数 | 距離 |
|---|---|---|
| 7/21 | 18,169 | 12.06 km |
| 7/22 | 12,945 | 8.58 km |
| 7/23 | 11,029 | 7.29 km |
| 7/24 | 16,990 | 11.29 km |
| 7/25 | 12,361 | 8.19 km |
| 合計 | 71,494 | 47.41 km |
5日でフルマラソンを超えている。1日平均9.5kmである。時差の関係で日付の区切りが多少ズレている可能性はあるが、総量としてはこんなものだと思ってもらっていい。
スニーカーは必須だし、履き慣れたものにすべきである。
トラムを使っても歩く
会場内にはトラム(シャトル)が走っている。Red、Blue、Yellow、Purple、Expressの各ルートがあり、主要エリアを結んでいる。トラムと言っても軌道があるわけではなく、トラクターが客車を何両か引いて走る連結車である。これはこれで外国人には面白い。
面白いのは歩数の推移で、最も歩いたのが初日の12kmで、最も少ないのが3日目の7.29kmである。3日目ともなると会場のどこに何があるかという地理感覚と、トラムを活用するスキルが身についていた。逆に言えば、初日と2日目は勝手が分からず歩き通していたということである。
ただし、トラムを使った3日目でも7km以上歩いている。トラムの停留所まで歩く距離もそれなりにあるし、乗り継ぎが必要な場合もある。「トラムがあるから歩かなくていい」ということは全くない。
Hangar A近くのLycomingブースからForumsエリアに移動したときは、YellowラインとRedラインを乗り継いだ。
ルートは変わることがある
24日の午後、トラムを待っていたら一向に来なかった。近くにいた人に教えてもらってようやく分かったのだが、その日はルートが変更されていて、停留所が違っていたのである。乗ったのはBlueだが、その日はGreenと同じ経路を走っていたらしい。
2026年は7月24日から26日にかけて、Red Arrowsの演技のために拡大されたエアロバティックボックスが設定され、クラウドラインが変更されていた。おそらくそれが理由だと思う。
公式のルート図を鵜呑みにせず、来なければ周りの人に聞く。これに尽きる。
駐車場のシャトル
車で来ている場合、駐車場と会場の間は無料のシャトルバスで移動する。
混み方には時間帯の偏りがある。朝は皆の来場時刻がばらけるので大して並ばない。問題は帰りで、16時から17時あたりは帰る時間が一致するらしく、しっかり列ができる。17時に会場を出るつもりなら、車にたどり着くのはだいぶ後になると思っておいたほうがいい。
このシャトルバスがいかにもアメリカらしい黄色いスクールバスで、外国人としてはこれ自体がちょっと面白い。
フォーラムとワークショップ
会期中、会場のあちこちで膨大な数のフォーラムとワークショップが開かれている。僕の滞在の中心はこれだった。
スケジュールはアプリで組む
EAA AirVentureアプリでスケジュールを見て、ブックマーク機能で自分の予定を組んだ。ブックマーク機能自体は、うーん、そんなに素敵な出来ではない。ただ紙よりは便利である。
注意点として、検索でヒットしたものが目当てのものとは限らない。僕は行く前からリベット打ちを体験したいと思っていて、アプリで “rivet” と検索した(当たり前だがカタカナでは何も出てこない)。Rivets and Sheet Metal Construction というフォーラムがヒットしたのでブックマークしたのだが、行ってみたら座学だった。
実習をやっているワークショップは Sheet Metal 101 という名前で、タイトルに rivet が入っていないので検索には出てこない。これに気づいたのは最終日、会場を歩いていて偶然見かけたからである。
対策としては、分野で一覧を眺めるか、会場を歩いて掲示を見るしかない。5日通っていたから拾えた、という面はある。
会場は近いものも遠いものもある
フォーラム棟の中で移動する分には数分もかからない。ただしFAA Safety Centerまでは5分ほど歩くし、各ブースで開かれているセミナーはブース間の距離次第である。同時間帯のものを掛け持ちするなら、事前に位置関係を把握しておいたほうがいい。
僕は21日、Buying Your First Airplane を聞いていて、同時間帯にチェックしていた Crack Open the 6-Pack に移動した。分解して中身が見えるようにした計器を触りながら仕組みを学ぶという内容で、こちらは大当たりだった。
合わないと思ったら出ればいい
これが一番書いておきたいことかもしれない。
フォーラムは予約不要で出入り自由である。5日間で僕は4回、途中で席を立っている。
- Buying Your First Airplane(21日)— 機体を買うときに査定をする仕事のコンサルタントの方が話していて、僕が想定している購買の流れとは合わないなと思い、Crack Open the 6-Packへ移動
- TIG溶接ワークショップ(21日)— 座学の後の実習でブース数が少なく列が長かった。TIG溶接なら日本でもできるので離脱
- Rivets and Sheet Metal Construction(23日)— 座学でつまらなかった
- Reassembly of Lycoming Engines(23日)— 喋りながらエンジンをゆっくり組み立てるもので、間延びした感じが合わなかった
席を立つ人の割合はフォーラムによって差がある。誰も動かないものもあれば、ちょくちょく人が出入りするものもある。少なくとも普通のことだと思って構わない。日本の感覚だと途中で出るのは気が引けるかもしれないが、並行して膨大な数が開かれているのだから、1本に義理立てする必要はない。
ちなみに21日のBuying Your First Airplaneでは、フォーラム会場が屋根だけで壁がないので、ちょうどfly-inしてきた飛行機が近くに駐機しようとしている様子が見えた。話を聞くより、そちらの動画を撮っていた。座学の最中に本物が目の前に降りてくる。会場が空港そのものなので、こういうことが普通に起きる。
終わったらSpeakerと話せることがある
フォーラムが終わった後、Speakerと直接話せることがある。聞き逃したところや、自分の状況に即した質問をその場でぶつけられるので、これは良かった。
ただし確実ではない。時間枠より早めに終わって後ろがつかえていないこと、そして演者が次の予定を入れていないこと。この条件が揃ったときに限られる。話したいことがあるなら質問を用意しておいて、機会があれば逃さない、くらいの心構えがちょうどいい。
22日に聞いた Pass Your Checkride (Part 1 of 2, The Oral) は、EAA Learn to Fly Centerで開かれたもので、最後にスライドのリンクと、Part 2の過去の収録へのリンクを載せたスライドを用意してくれていた。大変参考になった。なおこのとき紹介された録画は、視聴にEAAメンバーシップが必要なものだった。
実習系は席の確保が問題
25日、行く前からやりたかったリベット打ちのワークショップ(Sheet Metal 101)に参加した。午前中は実習の最中で入れなかったが、午後もやるというので昼食後に向かった。
ところが話し込んだのとトイレに寄ったので、着いたのが時間ギリギリ。会場は満席だった。スタッフに聞くと「誰か途中で実習をやらないと言い出すのを待つしかないねぇ」とのことなので、一縷の望みをかけて立ち見していた。
立ち見の人は入れ替わり立ち替わり増えていくのだが、座学の椅子に座っている人は誰も離脱しない。ダメかと思っていたら、実習の段になって状況が変わった。参加者の多くはカップルや家族、友人連れなのだが、一人で参加していたアメリカ人の青年が「一緒にやるか」と声をかけてくれたのである。
内容は、アルミ板とLアングル2本に穴を開け、ラウンドヘッドとフラットヘッドのリベットを5本ずつ打つというもの。材料はプリカット済みで配られるので、切断は体験できない。その青年と交代で半分ずつやった。
穴開けの前にポンチで印を付けるのだが、これが自分でバネを引くタイプのもので、非常に使いづらかった。片手で本体を保持しながらバネを引くので、その間に狙いがずれる。押し込む動作だけで打てるオートポンチか、普通のポンチとハンマーのほうがよほど確実だと思った。大人数に道具を配る前提のワークショップなので、道具の質にはどうしても限界がある。
リベット打ちにはハンドリベッター(スクイーザー)とエアのリベットガンを使った。ハンドリベッターのほうがやりやすいが、口が届く範囲でしか使えないし、数をこなすとなると大変である。リベットガンは届く範囲の自由度が高い代わりに、うまく狙わないとラウンドヘッドの周りやヘッドにツールマークを残してしまう。あれは見た目の問題だけでなく、疲労亀裂の起点になる。
1本打つだけなら誰でもできる。だが均質に何千本も打つとなると全く別の話だというのが、実際にやってみての実感だった。
作った現物は欲しかったが、誘ってくれたのは向こうなので、欲しそうなら譲るつもりでいた。ところが青年のほうから「どうぞ」と差し出してくれたので、持ち帰ることができた。
FAAのWINGSクレジットを現地で取る
日本でFAA証明を維持している人には、これが一番実用的な情報かもしれない。
会場で開かれているセミナーの一部は、FAAのWINGSプログラムのクレジット対象になっている。渡航のついでにフライトレビュー代替の要件を進められるわけである。
ただし断っておくと、僕はまだ証明を持っていない訓練生なので、今クレジットを集めても当面は直接の意味がない。それでも受けに行ったのは、どうやって貰えるのか仕組みを実際に試してみたかったからである。
大前提
事前にFAASafety.govでWINGS(および必要ならAMT)プログラムに登録しておくこと。これをやっていないとクレジットが付かない。登録時のメールアドレスが紐付けのキーになる。
方式は一つではない
僕は2つの方式を経験した。
FAA Safety Centerの場合(紙のフォーム)
23日14:00〜15:30、Sarah Rovner氏(DPE)による “How to Pass your Checkride” を受講した。
会場では紙のフォームが配られる。記入するのは氏名、Zip Code、メールアドレス、受講日、そしてSelect Number(AFS01XXXX の下4桁)。Select Numberは会場のあちこちに掲示されているし、フォームを配るときに口頭でも言っていたと思う。
Zip Codeは日本の住所だと書けない。マス目が5つあって米国の郵便番号前提の設計である。職員に聞いたところ、blankでよいとのことだった。
記入したフォームは、終了後に出口に立っている職員に手渡す。2時間ほどでクレジットを付けたというメールが届いた。
このセミナーはWINGS BK3(Basic Knowledge Topic 3)扱いで、AFS0144379だった。
NAFIブースの場合(QRコード)
24日、NAFI(National Association of Flight Instructors)のブースで開かれていた “Beyond the Checkride” に参加した。教官向けの内容なのでものすごく面白いというわけではなかったが、教官視点という普段と違う角度の話だったし、前方に座ってしまったうえに45分枠だったので最後まで聞いた。
こちらはプレゼンの最後にQRコードが貼ってあり、スキャンするとGoogleフォームに飛ぶ。氏名とメールアドレスを入力して送信するだけである。クレジットの登録には半日ほどかかった記憶がある。
日本から行く人には、Zip Codeで悩まなくていいぶんQRコード方式のほうが楽かもしれない。
どう組み立てるか
FAA Safety Centerの掲示板には、会期中の全セッションにWINGSのフェーズとAFS番号が併記されている。これを見ると、BK1・BK2・BK3が会期中に何度も開かれていることが分かる。
Basic WINGSのPhase 1を完了するには、Knowledge 3科目とFlight 3科目が必要である。つまり会場に数日通えば、知識側の3科目を現地で全部埋められる計算になる。
僕の場合、23日に受けた1本でBK3が埋まり、Phase 1が開始された。開始日から完了期限が設定される仕組みで、僕の場合は2027年7月31日までである。残るKnowledge Topic 1と2にはオンラインコースが選択肢として提示されているので、帰国後に埋めることもできる。
日本から行く人の現実的な戦略としては、現地でいくつか取り、残りはオンラインで埋め、飛行部分は教官と消化する、という形になるだろう。
最新のスケジュールは掲示板のQRコードか bit.ly/FAA_Forums で確認できる。
買い物
Oshkoshでの買い物には、性質の異なる三つの層があると思った。
1. 会場限定価格
出展している航空用品ベンダーが、Oshkosh会場限定の特別価格を出している。これはEAA会員かどうかとは関係なく、誰でも同じ価格である。
21日、N FlightCamというベンダーのブースに立ち寄った。以前、訓練中に機内のヘッドセット音声を録音する方法を調べていたときに見かけた会社である。USB-C出力のケーブルを見つけ、ちょうど居合わせた別の客がInsta360 Go Ultraで使えるかを店員に聞いてテストしているのを見て、動くことを確認してから買った。$39.99が会場価格$31.99。
25日にはAircraft Spruce(Hangar A)でYaesuのFTA-550を買った。これには続きがある。
2. 州の売上税が安い
ウィスコンシンの売上税は5%である。カリフォルニアやワシントンはもっと高かった記憶があるので、高額品を買うならこの差は無視できない。
3. Mail-in rebateの扱いを聞いてみる価値がある
FTA-550は本来$218.95なのだが、YaesuがOshkosh記念で$25のmail-in rebateをやっていた。ただしこの手のリベートは米国内の住所に小切手が送られてくる仕組みなので、日本在住だと事実上受け取れない。
その旨を店員に話したところ、その場で値引きしてくれた。結果$208.00(+5% tax)である。
日本から行くと「自分には使えないリベートだから」と諦めがちだが、聞いてみる価値はある。
ケースは別の店で、Pacific Coast Avionics(たぶんHangar B)で買った。YaesuのSHC-28というナイロンケースで$24。同じ店のオンラインショップでは本稿執筆時点で$30なので、こちらも会場価格が効いていたことになる。同じカテゴリの商品を扱う店が複数入っているので、一店で揃えようとしないほうがいい。
日本から買えないものが手に入る
これは値段とは別の話である。
22日、ForeFlightのブースでフライトタグをもらった。以前、公式ストアから買おうとしたら海外発送に対応しておらず諦めたことがあるものだったので、これは嬉しかった。BOSEのブースでもステッカーとフライトタグをもらった(僕はBOSEのヘッドセットを使っている)。自分が使っているメーカーのブースは回っておく価値がある。
なお、無料配布品の質はまちまちである。Pilot Instituteでもらった Free Fuel Tester は、透明のプラ容器に3Dプリントしたキャップを付けただけの、正直かなり安っぽいものだった。無料なので当然ではある。捨てようかと思ったが、3Dプリントなのが面白いので持ち帰った(結局ASAのちゃんとしたfuel testerを$10で2個買った)。
気になったものは見つけたときに買う
21日、最初のフォーラムで前の席に座っていた年配の男性が、キャップに小さな吹き流しを付けていた。あれはいいなと思ってEAAショップで見つけたのだが、荷物になるので後日買おうとその場では買わなかった。
後日行ったら売り切れていた。困ったなと思っていたら、日本から来ていた人が別の場所で売っていたと教えてくれて、そこで買えた。
会期中に売り切れるものはある。一方で、FTA-550のような持ち歩きたくない大物は最終日に買うのが合理的でもある。使い分けが要る。
事前のリストは作りようがない
僕が買えたものは、だいたい行く前から気になっていたものである。N FlightCamのケーブル、MyGoFlightの空冷ファン付きiPadケース、My Pilot Pro(タイダウンリングやストラットにアクションカムを固定する治具を売っている会社)の治具。いずれも以前から存在を知っていたから、ブースを見つけたときに買うと判断できた。
では事前に買い物リストを作っておけばよかったのかというと、そうは思わなかった。何がどこで売られているかは、行ってみないと分からないからである。出展者の一覧は事前に手に入らないし、仮にメーカーが出展していなくても代理店が扱っていることがある(実際、Yaesuはブースを出していないがFTA-550はAircraft Spruceで売っていた)。
結局、店頭で見つけて、その場で判断することになる。価格の比較もその場でやるしかない。
遊覧飛行
24日、僕自身は行く気がなかったのだが、泊めていた人が乗りたそうだったのでBell 47の遊覧飛行に付き合った。
昼間だと数時間並ぶが朝ならあまり並ばないと聞いていたので、早めに向かった。8時頃にハンガーに着いて、免責の同意書や緊急連絡先を書いて、8時半頃には乗れていた。所要30分である。
飛行時間は5分弱。会場を低空から見渡せるのは面白かった。$85。
他にもB-25が$495、Ford Tri-Motorが$150といった選択肢があった。冒頭に書いたとおり、僕はお金を出すなら自分で飛ばしたい人間なので、他は乗らなかった。
飛行機キャンプを見せてもらった
24日の午後、Seaplane Baseに向かおうとトラムに乗ったら、隣の席の年配の男性が吹き流しを持っていた。キャップに付ける小さいものではなく、成人男性の肩くらいの長さの棒で立てる実用サイズのものである。それについて聞いていたら、売っている場所を教えてもらった。かなり正確に案内してもらったのだが、Hangar BだかDだかというあたりまでしか僕の記憶に残っていない。
その男性はボナンザでfly-inしてきて、VINTAGE SHOWPLANE PARKING/CAMPING に駐機してキャンプしているとのこと。飛行機を見るかと誘ってもらったので、来年の下見も兼ねて見せてもらうことにした。
ボナンザに着くと、テントは右翼のあたりに2つ張ってあった。友人と一緒に来ているので一人一張りなのだろう。テントは1機に1つだと思い込んでいたので、2つ張れると知れたのは収穫だった。
機体を見せてもらっている最中に God Bless America が流れ始めた。エアショーが始まるときに流れるのである。すると男性は「ちょっと待ってくれ」と説明を中断して起立した。僕も脱帽して起立した。
広がる青空、草地、そこに並ぶ多数の飛行機、流れる God Bless America。全員が起立して敬意を表していたわけではないのだが、なんだかその雄大さに感動してしまった。
あまりに素敵な光景だったので動画を撮りたかったのだが、起立して敬意を表しているところで撮影を始めるのは違うだろうと思って、撮らなかった。終わってから写真は撮った。
規定を調べた
その場で疑問に思ったことを、後から調べた。ソースは以下。
- Airplane Camping(EAA)
- Airplane Camping Guidelines(EAA)
要点はこのあたり。
- 機体キャンプエリアで泊まるにはEAA会員であることが必須
- 事前登録は不要、場所は先着順
- 3日分の最低料金が適用される
- シャワー施設、無料Wi-Fi、場内交通、食料品店が利用できる
- ショープレーンエリアに泊まるには、機体がいずれかの審査カテゴリの対象であること
- VintageのShowplaneエリアは1903年12月17日〜1970年12月31日製造の機体が対象
- ペット不可、焚き火不可
- 自転車は指定された機体キャンプエリアでは可だが、AirVenture本会場には持ち込めない
テントの数については、かつては2セットのキャンプ資格が必要だったが、現在は機体の下が1サイト扱いになり、2つ目のテントタグを申請すれば無料で追加できるらしい。ただし自分のフットプリント内に収める必要がある。目撃したとおりである。
給油はどうするのか
キャンプエリアの近くをタンクローリーが走っているのを見かけたので、駐機したまま給油を受けられるのかが気になって調べた。
答えは受けられる。仕組みはEAAの記事にある(2021年の記事なので、現在も同じ運用かは要確認)。
給油はBasler Flight Serviceが担当していて、到着して駐機するとグリーターが緑色の燃料カードを配ってくれる。カードはNorth 40、South 40、Vintage Aircraft Campingの各給油ブースでも入手できる。記入して給油ブースかBaslerのFBOオフィスに提出すると、燃料トラックが機体まで来て給油する。
必ず行番号(row number)を記入すること。これがないと処理されない。プロペラに挟むのは不可。判読できる字で書くこと。
なお、この件でボナンザのオーナー氏から教えてもらった話がもう一つある。キャンプエリアから滑走路と反対方向に歩くとフェンスがあり、その外にいくつか飲食店があって、EAA会場ではないので会場内より安いとのこと。店自体は目視できたが、実際に行っていないので安いかどうかは確認していない。
人と会うこと
この記事に書いたエピソードの多くは、人に声をかけられたり、教えてもらったりして成立している。ボナンザのオーナー氏、リベット打ちに誘ってくれた青年、トラムの停留所を教えてくれた人、吹き流しの売り場を教えてくれた人。
ただし、放っておいて自然にそうなるわけではない。
僕は行く前に、周囲に「Oshkoshに行く」と話していた。その結果、アメリカ在住の知人から現地の日本人を紹介してもらい、その人とAirbnbの話をしたり、現地で会う約束ができたりした。5日間の昼はほぼ毎日、日本から来ていた人たちと集まって各々食事をしていたし、夜も何度か外のレストランで食事会があった。日によっては台湾や香港から来ていた人も一緒だった。
あの広さの会場で偶然の再会に期待するのは無理がある。事前の段取りがすべてである。
なお、一軒家を借りていたおかげで、部屋が確保できていなかった人を泊めることもできた。その人が車を持っていなかったので送迎も引き受けることになり、それが「23日以降も会場に行く」と決める理由になって、EAAに入会するきっかけにもなった。人と関わると予定が変わる。悪い意味ではなく。
期待外れだったこと
正直に書いておく。
キットメーカーの出展は思ったより少ない
EAAはExperimental Aircraft Associationなのだから、小さなキットメーカーがたくさん出展しているだろうと期待していた。実際に来ていたのはSling、Van’s、Kitfox Aircraftといった大手が中心で、期待したほどの数ではなかった。
一週間ブースを構えるのは小規模なメーカーには負担が大きいのだろう。実機を見てオーナーと話したいなら、むしろ駐機エリアを歩いたほうが収穫がある。25日にはRutanのLong-EZも見られた(オーナーが近くにいなかったので外側をさらっと見ただけだが)。
Seaplane Base
24日の午後、トラムの終着駅からシャトルバスでSeaplane Baseに行った。
僕は水上機が好きなので見るのは楽しかった。ただ、時間をかけて、お金も払ってバスに乗ってまで行きたいかというと微妙である。記念にSeaplane BaseのTシャツを買ったのだが、結局それもメイン会場で売っていた。
5日通えるなら1日くらい使ってもいいが、2〜3日しかないなら省いてよさそうだ。
注意点が一つ。行きのシャトルバスは$5で現金のみだった。「ONE TIME BUS PASS」と書かれた券を受け取る。会場内はカード決済で完結するので、現金をまったく持たずに動いていると乗れない。少額の現金は持っておいたほうがいい。
ちなみに帰りはメインゲート行きのバスに乗ったが、料金は取られなかった。理由は分からない。
それでもエアショーは見える
エアショーを見に行かない人の記録、と書いておきながら、5日間で3回ほど撮っている。
初日の21日、TIG溶接のワークショップを離脱して会場をぶらぶらしていたら、15時過ぎに頭上をレシプロ機の大編隊が通過した。数えると15機以上。単発でテーパー翼、低翼という機影からするとT-6テキサン系だと思う。
24日、帰りの駐車場シャトルの列に並んでいたら、F-35のVTOLデモが始まった。
25日、リベット打ちのワークショップを終えて15時過ぎに会場を歩いていたら、ウォーバードの編隊と地上のパイロテクニクスによる模擬爆撃の演目が始まっていた。機体からではなく、滑走路脇に仕込んだ火薬をタイミングを合わせて爆発させる演出である。B-25とP-51が飛んでいたと思う。
25日の夜、Airbnbに戻ってからは、B-29がATWに帰っていくのを見上げた。Boeing Plazaで地上展示をやっていたらしいのだが、僕はそれに気づいてもいなかった。5日通っていても、興味の方向が違えば同じ会場でまったく別のものを見て帰ることになる。
会場にいれば、見ようとしなくても何かは飛んでいる。僕にはそれくらいの距離感がちょうどよかった。
5日間の記録
| 日 | 主な行動 |
|---|---|
| 7/21 | Buying Your First Airplane(離脱)→ Crack Open the 6-Pack / Homebuilders Hangar、キットメーカー / ホンダ、magniX(HARBOUR Airの電動機) / EAAショップ、N FlightCam、Bose、Sporty’s、Joby / 正午 C-5Mで集合 / 午後 TIG溶接ワークショップ(離脱) / Snap-on、Cessnaブース(新品172が$600k、AP付きで$700k) / 17時前撤収 |
| 7/22 | 朝 B-29 / Pass Your Checkride (The Oral) @ EAA Learn to Fly Center / Hangar A:Aircraft Spruce、MyGoFlight、My Pilot Pro / 正午 集合 / 13時 Flying EyesブースでFly Me to The FunのDrew & Lanieに会う / ForeFlight、木工ワークショップ見学、ユース向けプログラム / 17時撤収 |
| 7/23 | 9:30 Reassembly of Lycoming Engines(離脱) / Rivets and Sheet Metal Construction(離脱) / 正午 集合 / 14:00 How to Pass your Checkride @ FAA Safety Center(WINGS BK3) / 17:26 会場外のレストランで食事 |
| 7/24 | 8:00 Bell 47 Rides($85) / Hangar BでPrusa → Shark.Aeroに案内される / NAFIブースで Beyond the Checkride(WINGS、QRコード) / 正午 集合 / トラムでVintage Showplane Camping、ボナンザ見学 / Seaplane Base / Pilot Instituteでノベルティ / 駐車場シャトルの列でF-35のVTOLデモ / 夜 食事会 |
| 7/25 | 小規模な工具・部品店を回る / Aircraft SpruceでFTA-550、Pacific Coast Avionicsでケース / Slingブース / Long-EZ / 13:00-15:00 Sheet Metal 101(リベット打ち実習) / ウォーバードのエアショー / ASAでfuel tester、NASAブースでロボットアームのデモ / 夜 AirbnbからB-29を見送る |
金額や制度は僕が2026年に体験した時点のものです。渡航前には必ずEAAの公式サイトで最新の情報を確認してください。
















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