SD2011年7月号 ガイガーカウンタ製作サポート記事



Software Design 2011年 07月号の「秋葉原発! はんだづけカフェなう」連載記事において、「Arduinoでガイガーカウンタを作る」という記事(今回は大盛り6ページです)を執筆させていただきました。

キットの予定とか進捗

キットの回路は出来上がっているのですが、試作をしている中で仮組と基板に組んだものの間にいくつか相違点を見つけてしまいました。
よって、基板の生産を依頼する前に問題を潰していっています。

なお、キットに使う予定のガイガー管は50本ほど確保しておりますので、初回のキット発売数はそのくらいになると思います。
6月末には基板も生産されてスイッチサイエンスさんに委託したいと考えております。
(6月17日)
記事で紹介し、また、キットで使う予定だったインバーターが品切れした模様です。入手や代替手段を検討しておりますので、しばらくお待ち下さい。(6月18日)
あまり数は多くないのですが、インバーターを確保できそうです。リスケジュールしておりますので、キットが用意できる日程を改めて報告させていただきます。(6月22日)
インバーター確保できました。基板を起こす前の最終的なデバッグを行っております。8月頭にはなんとかしたいです。(7月15日)

今更で恐縮ですが、キットの作成は棚上げしてしまっています。
理由は2つあります。
1. 僕よりも詳しい方がいくつかキットをリリースしていらっしゃるので、僕が出す意義が薄い
2. このエントリにもあるとおり、高電圧を扱うのでキットを売るほどの安全確保ができる自信がない
というものです。待って下さっていた方には大変申し訳ありません。(2012/6/4)

このエントリでは、記事に書ききれなかった情報や、ご質問への回答といったサポート情報の掲載、また、プリント基板に起こしてキット化に向けて作業をしておりますので追加情報を記載させていただきます。

↓続きはこちら↓

高圧発生回路についての補足説明

記事中に掲載した、高圧発生回路について、補足して説明します。
高圧発生部
回路図中に”S-05584″とあるのが、秋月電子通商さんで「冷陰極管用小型インバータ」として販売されているものです。
このインバーターの前(回路図で左側)で2.5Vを5Vから発生させています。
インバーターに入力する電圧と、最終的にR3の抵抗の手前(C4の両端の電圧)の関係は、測定してみたところ、次の様な結果でした。
組んだ回路の入力電圧と出力電圧の関係
このグラフから読み取れるように、2.0Vをインバータに入力すると、約500Vが出力されるようです。

LM317Pのデータシートを参照すると1.25(1+R2/R1)という計算式がありますので、2.0Vを得るには2.0=1.25(1+0.6)、つまりR2/R1=0.6になる抵抗の組み合わせを見つければ良いことになります。
一般的に売っている抵抗の一覧を見ると、120Ωと200Ωがありますので、これを組み合わせれば良いだろうということになります。

インバーターの出力(回路図で右側)にはDI1510という部品が取り付けられています。これは、ブリッジダイオードというもので、交流を直流に変換してくれる部品です。
一般的にインバーターなどで電圧を上げたり下げたりするときには、電流を交流にして取り扱います。このインバーターもご多分に漏れず、交流を出力しますので、GM管に印加するための直流に変換する役割をしています。

オシロを使った理由(2)

テスターやオシロには、「入力インピーダンス」というものがあります。「インピーダンス」とは簡単に言ってしまうと「抵抗」のことですが、言葉が違うのには理由があります。
電流には直流と交流がありますが、電子部品によっては直流を流したときと交流を流したときに抵抗値が変わるものが存在するのです。(例えばコンデンサは直流を通しませんが、交流は通します。)
テスターやオシロスコープは交流も入力しますので、インピーダンスという単位を使うことが一般的です。

話が逸れましたが、高圧を測定するときに測定器にたくさん電流が流れ込むと電圧が変化してしまいます。測定器に電流がたくさん流れ込まないようにするためには、測定器の入力インピーダンス(入力抵抗)が高くなければいけません。
しかし、安価なテスターですと、この入力インピーダンスが書いてなかったり、あまり高くなかったり、また、600Vといった高電圧を測定することができなかったりします。

一方、オシロスコープには記事でも紹介した「100:1プローブ」なるものが存在します。
私は、秋月電子通商さんで売っている100:1プローブを使っているのですが、こちらですと入力抵抗が100MΩと記載されていますし、1200Vまで測定することができるようです。
100:1プローブは測定対象の信号の電圧を1/100にしてオシロスコープに渡してくれますので、1200Vでも12Vと、一般的にオシロスコープに入力しても問題無い電圧にしてくれるのです。
もちろん、テスタに100:1プローブを接続しても高圧を測定することが可能です。(そのときは電圧が1/100になっていることに注意してください。)